生きるのに一生懸命!

日本の隅っこで小さな会社を運営中。 ここは、日々感じた事や思った事を書き殴るブログ。たまに毒舌です。

警察小説の新境地なんだけど・・・小説『教場』を読んでみた!

毎日、暑い・・・。
仕事する気にならないぞ。
こういう時は、仕事を放り出していつもの店に避難。
面倒くさい事は他の人間に任せて、のんびり過ごす・・・。
誰にも邪魔されずに、その店で本を読むのが至福のひと時ww
で、この前も本を持ち込んで、アイスコーヒー一杯で3時間も読書に勤しんだぞ。
読んだ本はこれ・・・。

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長岡弘樹のベストセラー『教場』だ。
って事で、今回は『教場』を読んでみたオレの読書感想文。

 

 

 

この本が売れてる事は知ってた。
なにしろ帯にも書いてある通り、2013年週刊文春の「ミステリーベスト10」(国内部門)で堂々の1位だからな。
それに加えて宝島社の「このミステリーがすごい」(2014年版)、通称「このミス」なんて呼ばれてるけど、こちらでも2位
これだけの高評価だと、そりゃ売れる。
普段はミステリーを読まない層も、こういうランキングの上位の本は読むだろうし・・・。
だけど、マサト式の読書は、こういう本にはすぐに飛びつかないぞ。
ある程度、年月が経ってから読む。出版直後の熱が冷めてからの方が、冷静に読める気がするから。
そもそも、もっと読みたい本が山積みだ。
それに、こういう本はしばらくすると古本屋で大量に並ぶだろww
よほど好きな作家なら新刊で即買うけど、読んだ事のない作家を新刊ではまず買わない。
って訳で、この本もBOOKOFFで見つけてきた。
税込みで・・・

108円!ww

安いからと言って物語の中身が変わるわけでもないし、これで充分。

まぁ、この作者、気に入れば次からは新刊で買うけどな。

って軽い気分で読み始めた。

 

で、この本のタイトル「教場」って言葉の意味なんだけど、警察学校のクラスの事。
小学校、中学校なんかだと3年3組とか〇〇学級なんて呼ぶだろ。それを警察では「教場」って呼ぶらしい。
そう、この本の舞台は警察学校。もちろん、警察官を教育・訓練する学校だ。
そこを舞台に主人公の教官・風間と彼が担当する「風間教場」の学生たちの物語だ。
オレ、最初は長編かと思ってたら、この小説・・・短編集だった。
六編の短編が収められてるんだけど、それぞれの短編がゆる~く繋がっていて「連作短編集」という趣き。
まず感じるのは、警察小説らしく乾いた文章。余分な贅肉を削ぎ落した文章なんだけど・・・オレとしては・・・

人物に深みが感じられない!

こんなもん、出版直後に、人物に深みが無い!なんて書くと、まわりから何を言われるか恐ろしいけど、まぁ、出版から5年近く経ってるし、もう、感じた事をそのまま言っても良いだろww
贅肉を削ぎ落してる文章は良いんだけど、それをやり過ぎてるのか、登場人物の姿が浮かんでこないんだよなぁ。ボンヤリとシルエットは見えるんだけど、はっきりとは見えない、そういうモヤモヤした感じなのだ。
警察小説と言えば、現代だと横山秀夫が第一人者だと思ってるんだけど、彼の作品に出てくる人物とはちょっと違うんだよね。横山秀夫の小説だと、刑事一人一人の表情が手に取るようにわかる。だけど『教場』にでてくる人物は、どれもシルエットしか見えない・・・。

オレの好みとは違うんだよなぁ。

なんだけど、これまでの警察小説と一線を画してるのは間違いない。
これまでは、警察内部のドロドロした人間関係を描いたもの、キャリアの視点から描かれたものは有ったけど、警察「学校」の中の事を描いてるのは稀有だからな。
その意味では新境地を開いたと言えるんだろうな。
だけどなぁ・・・
やっぱり・・・

好みじゃないんだよなぁ。

 

とは言っても、『教場』が面白くないかと言えば、答えはNOだ。
充分に面白い。
この小説で書かれてる警察学校は・・・

警察官を育てる機関じゃない。
適性のない人間をふるい落とす場所!

実際に警察学校の途中で辞めていく人も少なからず居るそうだし、卒業目前になって辞める人も存在するらしい。
適正のない人間をふるい落とすセリフが帯にも書かれてるんだけど、これ・・・。

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君には警察学校を辞めてもらう。

すごい言葉だ。
こういう言葉を平気で言うのが、全編を通じて登場する主人公・風間。
オレだって、似たような言葉を言うことはあるけど・・・もう明日から来るな!とか、出て行きやがれ!とか・・・。
だけど、風間教官みたいに静かな声で冷静には言えないぞww
この『教場』、ふるい落とされまいとする学生の物語とも言える。
それだけに、シルエットしか見えない描写が残念なのだ。

 

この短編集、ミステリーなのに誰も死なない。
ミステリーって言うと、殺人事件が起こって、どうたらこうたら・・・って流れが一般的だけどね。誰も死なないミステリーってなると、じゃぁ、「日常の謎」を扱ってるのか?ってなるんだけど・・・う~ん、ちょっと違うような気もする。
「日常の謎」って言うと、北村薫なんかが有名だけど、う~ん、あのノリでも無いんだよなぁ。
ここで描かれてるのは、ふるいから落とされまいとする学生たちの邪な考え
その邪な考えが、小さな事件を起こして・・・って流れ。
そして、風間教官の出番だな。
事件の当事者は学校を追われる。
学校の規則に反した者は何が何でも追い出されるかというと、そんなことは無くて、こういうカッコイイ台詞なんかも出てくるぞ。

「ここはな、たしかに篩(ふるい)だ。だがその逆でもある。残すべき人材だと教官が判断すれば、マンツーマンで指導しても残してやる。そういう場所だ」

 

簡単に全六編のあらましをまとめておこうか。

第一話 職質

警官になる事を親に反対されて一度は小学校の教師になった宮坂の話。そこそこ成績は優秀。同じ転職組の平田をかばったばかりに、思いもせぬ事件に発展して・・・。
ミステリー的な要素は薄い。警察学校の雰囲気を描くことに主眼が置かれてるような気がする。

 

第二話 牢問

二人の女性警官(学生)の話。似顔絵クラブに所属して取り調べ技術も高いと言われてる女子学生の思い込みが、とんでもない事件になって・・・。
オレは、この手の女性は嫌い!

第三話 蟻穴(ぎけつ)

これはミステリー要素も高いな。二人の男子学生の話だけど、一方の学生はどうしてウソの証言をしたのか?これは上手いな。
事実しか書いてはいけない、という警察学校の規則を絡めて、上手い具合にまとめてる。ラストもなかなかの復讐劇になっててオレ好みだ。

 

第四話 調達

どんなものでも調達してくる学生(調達屋)と成績不振の学生の話。調達屋が調達してきたものは「成績」。その口車に乗った成績不振の学生は、思いもよらぬ疑いをかけられて・・・。これもミステリー要素は高いな。ただ、解決の方法がちょっと唐突。

 

第五話 異物

これはトリックが上手い。スズメバチを極度に恐れる学生の話だけど、彼の巻き起こす騒動を軸に最後は清々しい気分にさせてくれる。最初は、嫌な奴なんだけど、うん、この短編のラストはこの六編の中では一番好きだな。

 

第六話 背水

卒業式で総代になる事をねらう優等生・都築の話。卒業を控えて体調不良になる彼に対して、教官・風間は・・・

「あきらめろ」
「いつにする?明日か、明後日か。何ならいますぐにでもかまわんが」
「・・・もしかして、退職しろ、と、おっしゃって、いるのでしょうか」
「そう聞こえたのなら、少なくとも耳だけは正常らしいな。届を出す時期はいつがいい?」

かなり厳しい事を言う教官なんだけど、ちゃんと学生に対する愛情みたいなものも感じられるラスト。

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長岡弘樹の小説は初めて読んだけど、この『教場』はトリックも捻られているし、充分に水準以上。
それだけに・・・

惜しい!

人物描写をもっと掘り下げて描いてくれれば、そこらのミステリーの水準を突き抜けるんだけど・・・。
オレとしては、☆3個半ってとこかな。
警察学校を舞台にしてるので、警察小説と言えるんだけど、「学校」が舞台なだけに、この小説を学園小説と言う人も居るそうだ。
そうそう、この『教場』だけど、シリーズ化されて、現在は『教場 2』『教場 0』まで出版されているそうだ。
うん、シリーズ第一作は充分に水準以上だったし、面白かったんでね、『教場 2』『教場 0』も読むつもりだけど・・・

古本屋で買う!ww

もっと他に「新品」で買いたい本は有るのだ。

 

 

 

いつものバイト君の下書きチェック

バイト君:面白い本なら新品を買えば良いのに・・・

ちょっと微妙なのだ
面白いんだけど・・・
じゃぁ、続編を新品で買うかというと、
ちょっと二の足を踏むww

バイト君:競馬やら競艇に遣うお金が有れば、いくらでも買えるでしょww

・・・・・・